心疾患(心筋梗塞など)

 

心疾患のリハビリで、心臓に負担をかけずに「筋力低下を防止する」

心疾患の場合、大きな発作を起こした後や手術の後などは、ベッドで安静を保たなければなりません。ところが、寝たきりの状態が続くと筋肉が萎縮してしまいます。若い人の場合は早期の回復も可能ですが、高齢者や慢性疾患がある人は、筋委縮が原因でそのまま起き上がれなくなってしまうこともあります
これを防ぐため、通常、心疾患のリハビリには筋力トレーニングが取り入れられています。しかし、これにはある程度大きい負荷が必要で、筋委縮が起こっている人や寝たきりの人にとっては実践が難しいものです。また、大きい負荷のせいで血圧が上昇することもあり、心臓に負担がかかるリスクもあります。
そこで、有効なのが加圧治療です。加圧治療は、通常のトレーニングより小さい負荷で筋肉の増強が可能。寝ている状態でも脚の付け根に加圧すれば、わずかな負荷でも運動効果が得られ、筋力が鍛えられます

糖尿病

 

 

加圧治療で「糖尿病を改善」

食生活の欧米化に伴い、生活習慣病を発症する人が増加しています。なかでもとくに注意しなければいけないのが糖尿病です。糖尿病は、糖の分解に必要な「インスリン」という物質が充分に分泌されないことによって、血液中の糖分が多くなってしまう病気です。生まれつきインスリンの分泌が悪い人もいますが、多くは脂質や糖分の摂りすぎ、運動不足などが糖尿病を招きます。
加圧治療を行うと、成長ホルモンが大量に分泌され、脂質の代謝が高まります。さらに、血糖値を下げる働きのあるインスリン様成長因子(IGF-1)も分泌されます。そのため、加圧治療をするとすぐに血糖値が下がり、その効果は翌日まで続きます。インスリン注射を打っている人は、効果が出すぎて低血糖を引き起こすこともあります。糖尿病の治療をしている人は充分な注意が必要ですが、加圧治療を続けることで症状は改善されていきます。

骨粗鬆症

密度を高めて強い骨を作り、「骨粗鬆症を改善」

骨粗鬆症は、骨の密度が低下して骨がスカスカになってしまう病気。閉経を迎えた女性や無理なダイエットをした人スポーツ選手に多く見られ、いずれも、骨を破壊する作用を抑える女性ホルモンの分泌が減るとが原因です。骨密度を高めるためには適度な運動が望ましく、加圧治療が効果的
骨は、質の良い状態を保つため、古い骨を壊して新しい骨を作る代謝を常に行っています。その中で、骨を壊す作用が強くなり、新しい骨を作る作用が弱くなると、骨粗鬆症が引き起こされます。単発の加圧治療で骨吸収マーカー(骨を壊す作用を表す指標)の値が低下したという研究報告がある一方で、1日2回、週6日の加圧治療を3週間行ったところ、血中の骨形成マーカー(骨形成を表す指標)の値が上昇したという報告もあります。これらのことからも、加圧治療は骨の強度を高める効果あると考えられます

関節リウマチ

関節リウマチ」のつらい痛みや腫れが軽減

関節リウマチは、膠原病の中の代表的な疾患です。膠原病は、血液中に自分自身を攻撃する因子が出来てしまい、慢性的に関節、血管、神経などに炎症が続く病気。そのうち、関節に炎症を起こし、関節の変形骨の破壊を引き起こすのが関節リウマチです痛みが強いため身体を動かすのがつらく、結果的に筋力の低下関節の拘縮(縮こまってしまうこと)が起こります。
加圧治療は負荷が小さいため、身体を動かすのが難しい関節リウマチ患者に対しても行えます。関節リウマチの患者さん5名に対して、1〜2週ごとに1回15分ほどの軽い加圧治療を3か月間行った実験では、つらい痛みがとれ筋力が増加たという結果が得られました。炎症そのものは残っているのに痛みや腫れが軽減されたのは、筋力の向上関節周囲の組織が強化れたことによると考えられます

脳血管障害

脳血管障害による運動障害」を加圧治療で克服

脳梗塞や脳出血などを起こすと脳の患部の細胞が死滅してしまうため、脳は身体にうまく指令を送れなくなり、麻痺しびれをなどの重い後遺症が残ります。通常の理学療法は、これ以上運動機能が悪くならないよう、現状維持することを目的にしています。
しかし、近年、こうした患者さんが、圧治療で運動機能が回復したという報告が相次いでいます。9年間の寝たきり生活から10か月の加圧治療で立ち上がれるようになった、8年間の通常のリハビリで効果の現れなかった人が週2回の加圧治療で2か月後には足の指先関節が正常になった、右半身の運動不能で医師に回復の見込みがないと宣告された人が1か月後に腕や指を動かせるようになったなど、数の報告が届いています。科学的な解明はこれからですが、こうした事例は脳血管障害を抱える人の希望になるはずです。

がん予防

 

度な運動と免疫力アップ効果で「がん予防にも有効」 

がんを予防するには、適度な運動が効果的とされています。国立がんセンターの「がん予防指針」では、「定期的な運動の継続。例えば、ほぼ毎日合計60分程度の歩行などの適度な運動、週に1回程度は汗をかくような運動」が望ましいとしています。加圧治療なら、これよりも短時間よび小さい負荷運動で、がんを防ぐための適度な運動をこなすことが充分に可能です。
んの発症は免疫力の低下関係がありますが治療によって大量に分泌される成長ホルモンは、免疫力をアップさせる働きがあります。卵巣がんが肺に転移した人に加圧治療を行ったところ、免疫抑制酸性蛋白という免疫力低下の一因となる腫瘍マーカーが、大幅に減少したという報告もあります。また、プロゴルファーの杉原輝雄さんは、60歳で前立腺がんを発症しましたが、食事療法と加圧治療で腫瘍を小さくすることに成功しました。

うつ病・認知症

長ホルモンの大量分泌で「うつ病や認知症が改善する」

成長ホルモンには、「活力が増してくる」「情緒が安定する」といった、精神的な作用があることも知られています。加圧治療による大量の成長ホルモンの分泌は、うつ病や認知症の「無気力」「引きこもり」などの症状に、直接働きかけると考えられています。また、肥満とうつ病は相関関係にあるという説もあり、活動性の低下から肥満を招くことが、うつ症状を悪化させる原因になるという見方もあります。加圧治療による運動不足の解消と、大量の成長ホルモンの分泌が、症状の改善につながるのです。うつ病と認知症は、リラックスした時に現れる脳波「α波」が少なく、睡眠障害から昼夜逆転の生活になってしまう点で共通しています。うつ病による自殺者の増加や認知症患者と接する家族の負担は、社会問題ともなっています。加圧治療で、精神的に苦しんでいる多くの人が救われれば、これほど望ましいことはありません。

メタボリック・シンドローム

メタボリック・シンドローム」の予防・改善に最適なトレーニング 

最近話題の「メタボリック・シンドローム」は、内臓脂肪型肥満に加えて高血糖高血圧高脂血症のうちの2つ以上を合併した状態のことをいいます。併せ持つ症状が多ければ多いほど、心臓病脳血管障害などの病気を引き起こすリスクが高くなります。内臓脂肪型肥満かどうかの診断は腹囲が目安で、日本人の場合、男性85cm以上、女性90cm以上がこれに該当します。
メタボリック・シンドロームを改善するには、食事療法運動療法の2つを同時に行うことが大切。体脂肪を燃焼させるためには筋肉が必要なので、食事療法を行いながら、加圧治療で筋肉をつけるのが最も効率的な方法と言えます。さらに、加圧治療後に大量に分泌される成長ホルモンは、脂肪細胞の中にある中性脂肪の分解を促す役割も果たしています。現在、加圧によってメタボリック・シンドロームを治療する医療機器の開発が進められています。